「落語(上方芸能)を楽しむ会」 年末は恒例の「女流ウィーク」で笑い納め!

 

「落語(上方芸能)を楽しむ会」
年末は恒例の「女流ウィーク」で笑い納め!

 「落語(上方芸能)を楽しむ会」、平成5年締め括りの例会は、恒例となった天満天神繁昌亭での「歳末吉例女流ウィーク」鑑賞である。この日は、年の瀬の慌ただしい時にもかかわらず、17名もの会員が繁昌亭に集まった。 1週間の出演者がすべて女性ばかり、という年に一度のこの催し、今回も日本で第1号の女流落語家である露の都、東京からのゲストで落語協会初の女性真打ちとなった三遊亭歌る多など多彩な顔ぶれが揃い、華やかな舞台を繰り広げた。

 最初に、上方女流落語家の大御所である露の都のお弟子さんが3人続けて登場し、会場を大いに沸かせる。開口一番は露の陽照でお馴染みの「動物園」からスタート、続いて、露の棗が「大安売り」、露の眞が「手水廻し」とポピュラーな古典で盛り上げる。次は色物、「永遠の25歳」手品の松旭斎天蝶が登場し、紙で作った2匹の蝶を扇で優雅に舞わせる「浮かれの蝶」で観客を魅了した。仲入り前は、上方女流落語界を代表する2人のベテランが相次いで登場。まず桂あやめが得意の創作ネタ「セールスウーマン」で会場を沸かせ、仲トリは来年に入門50周年を迎える女性噺家のパイオニア露の都が、人情噺の古典「子は鎹」を披露して、観客を笑わせながらもホロリとさせた。

三遊亭歌る多 師匠

 仲入り後、最初に天台宗の僧籍も持つという変わりダネ噺家、露の団姫が登場して「地獄巡り」を披露。続いて、東京からのゲストで「女流ウィーク」ではこの日だけの出演となる落語協会初の女性真打ち三遊亭歌る多が登場し、ナンセンスなお笑い噺「つる」で会場を笑いの渦に巻き込んだ。その後は、お馴染み女道楽の内海英華が、艶っぽい唄と三味線の妙技で会場の雰囲気を一変させる。次はいよいよトリだ。この「女流ウィーク」ではトリは日替わりで出演者が順につとめる、という趣向で、この日は桂ぽんぽ娘が、落語家入門17年目で初めてというトリをとった。この日のネタは創作の「シングル・デブ」、初めてのトリでいささか力が入ってはいたものの、彼女ならではのユニークな噺で見事に締めくくった。

 終演後はいつものように「落語を楽しむ会」会員だけが客席に残り、恩田元支配人の司会で当日の出演者を囲んでお話を聞く場を設けていただいた。この日は、東京からの唯一のゲスト、三遊亭歌る多師匠に残ってもらい、珍しいお話をいろいろと聞くことができた。

 「落語を楽しむ会」の例会は、これだけでは終わらない。続いて、天神橋商店街にある居酒屋「浜焼きドラゴン」に繰り出し、忘年会を兼ねたささやかな宴を開いた。この日は、17人の出席者中なんと13名もの会員がこの宴に参加して、2時間にわたって大いに呑み、食べ、しゃべり、笑い、楽しく時を過ごして、「落語を楽しむ会」の一年を締め括った。

髙井久雄(KTV)

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