民放クラブ全国囲碁大会
牧野7段(ABC)が優勝
地元局の案内で被災地訪問も
第20回民放クラブ全国囲碁大会が10月29日、宮城県松島海岸のホテル松島大観荘で開かれ、牧野元良7段(ABC)が優勝し、中嶋敏朗2段(TVO)が3位に入賞した。関西勢が昨年の松岡秀一4段(ABC)に続き2連覇した。
今年の大会は東北地区の民放局が幹事で、民放クラブ会長に就任した広瀬道貞5段(EX)も加わり、出場者は37人。関西からは上記3人のほか、長崎直定(ABC)、丹羽豊(KTV),尾崎信二(ABC),中川民雄(TVO)の4人が参加。予選リーグは9組に分かれて実施、3連勝した牧野、中嶋ら8人が決勝トーナメントに進出。決勝で長原利明6段(HBC)を破った牧野7段が優勝したもの。
今年から全国規模の催しには民放クラブから助成金が出されることになったが、この大会が初適用となった。開会式では広瀬会長から幹事に助成金10万円が手渡され、大会経費として有効に使われた。また、来年の21回大会は2008年以来6年ぶりに関西で開かれることが決まった。
翌30日、東北局幹事の計らいにより、マイクロバスに乗っての被災地訪問を行った。「来ていただき、見ていただき、伝えていただきたい」というのが地元民の願いだという。朝8時30分出発、松島の瑞巌寺、塩釜市、七ヶ浜町、多賀城市、仙台市若林区と回って、12時に仙台駅で解散した。大震災から2年8か月経ったが、今でも2600人を超える行方不明者の捜索が続き、自然の圧倒的な力とあまりに広い被災範囲を前に復興は遅々として進んでいないというのが現状のようだ。七ヶ浜町では、家を失った伊丹一男3段(TBC)が住居跡近くでその時の模様を語ってくれた。「おもちゃの積み木のように、家屋が簡単に倒され、流されていった。音のない世界だった。頭が真っ白になるとはこういうことを言うのか・・・・・」
会場となった松島町は湾内に浮かぶ260余の島々が自然の防波堤となって、大津波のエネルギーを減衰させたため、犠牲者は2人にとどまった。他市町村では当たり前の仮設住宅もここにはなかった。大観荘は海抜5,60Mに立地していることもあって大津波の被害はなく、窓ガラスが壊れ、シャンデリアが落ちる程度で済んだ。震災後3か月は住民の避難所となり、そのあとは自衛隊、消防など救援隊の宿舎として活用された。営業再開は大震災の約1年後だったという。
なお、仙台駅で解散後、関西勢は十和田湖、奥入瀬渓谷、八甲田山などの紅葉をめでる2泊3日の旅に出て、美酒と囲碁、そして温泉を楽しんだ。
(TVO 中川民雄)