第40回懇話会「アイヌを語ろう」

2026年2月9日(月)午前10時半から大阪駅前第2ビル6階、大阪市立生涯学習センター第2研修室で、第40回定例懇話会が開催されました。
「とても興味深い内容でした。アイヌの人たちへの差別は知っていましたが、生の声をお聞きすると、また違った側面から問題の根深さを知ることができました・・・・」
「次に北海道に行く時は、アイヌ博物館に訪れたいです」参加者の方から頂いた感想です。

貝澤太一さん

今回の講演者、貝澤太一さんは、農業の傍ら、伝統工芸の木彫り品の制作、古式舞踊を中心にアイヌ文化普及のための講演を続け、多方面で活動されています。
貝澤さんの柔和で笑みを絶やさず、穏やかなしゃべり口からは想像できない、重いアイヌの歴史が語られました。大学の学者が記した学術的書籍のアイヌや、我々メディアが取材した映像や記事は表層的で実像とは随分掛け離れている。貝澤さんは怒りを覚えると仰います。
貝澤さんが小学生だったころ、貝澤さんの友達が、お母さんから「貝澤君を家に遊びに来させては駄目」だと言われたそうです。差別ですね。我々の世代が昔、親から被差別部落の友達の家に行ってはいけないと言われたことを思い出しました。
約150年前、明治政府は北海道へ開拓移民を送り込み、アイヌの人を元々住んでいた地域から強制的に追い出したのです。また日本政府は戦前、朝鮮人に強制した日本同化政策をアイヌにも行ったのです。アイヌ語や風習の禁止、日本語の強要です。貝澤さんはアイヌ語を喋れないそうです。多くのアイヌの人々は子供にアイヌ語を教えませんでした。自分達がアイヌであることを隠そうとしたのです。我々が住む日本に虐げられた民族が存在しています。アイヌの人は日本人を「和人」と呼びます。沖縄の人は沖縄生まれの人を「うちなんちゅ」、本土の人を「やまとんちゅ」と呼びます。日本は「単一民族」でない、多民族国家であるという認識を持たねばならないと改めて思い知らされました。
北海道の地名の由来の多くはアイヌ語です。貝澤さんは「北海道って本当に日本なの」と言いたいそうです。日本の先住民族であるアイヌ民族は、20世紀半ばまで北海道、樺太、千島列島や東北の一部を主な生活圏、文化圏としていました。
皆さんは『北海道旧土人保護法』という法律を聞いたことはあるでしょうか。
何か前近代的な名前ですね。1899年(明治32年)に制定され、アイヌの人々を日本国民に同化させることを目的としたものでした。なんとこの法律は、1997年に廃止されるまで存続しました。内容をザクっというと、「北海道旧土人」に土地を貸してやるから農業をせよということです。アイヌの人は有史以来、何千年もの間、狩猟採集の生活をしてきました。貨幣の概念もなく、交易は物々交換、いきなり農業をせよと言われても無理な話です。アイヌの人の主食である鮭を川で捕ってはいけない、弓矢の使用も禁止されました。この法律が多くのアイヌの人を苦しめ、命を奪ったと言って過言ではありません。
貝澤さんは、アイヌを語るとき避けて通れない二風谷裁判についても話されました。アイヌの聖地、二風谷をダム湖にして沈めることの正当性をめぐって争われた裁判です。判決は1997年に原告側の実質的な勝訴で、アイヌ民族の先住性を国がはじめて認める画期的な内容でした。貝澤さんのお父さんも原告の一人です。「北海道旧土人保護法」は、この年に廃止され、「アイヌ文化振興法」の制定などにつながりました。
「文字が無くとも言葉がある。唄がある。踊りがある。文化がある」
アイヌは日本人ではなく先住民族です。独自の宗教、文化、芸術に誇りを持ち、これからも、その精神を受け継いでいく。
アイヌ文化の継承者、貝澤太一さんの増々のご活躍を期待する次第です。
川崎 宏(ABⅭ)

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