タイトルの通り、中国語の歌で「私の1997(年)」という意味です。
艾敬(アイ・ジン)という女性歌手が1992年に歌って、中国本土、香港、台湾で約50万枚を売り上げたそうです。私がこの曲を聴いたのは1995年か、96年。今まで持っていたメロディラインの美しい中国の曲のイメージとは違って、リズム感に溢れた新しい感覚の曲でした。
19997年というと香港の主権がイギリスから中国へ返還された年。この曲を発表した1992当時、瀋陽に住んでいた一人の少女・艾敬が「香港に行けるかしら、香港ってすてきじゃない、ヤオハンってどんなところ?もし行けたら香港コロシアムで歌わせて。1997・1997・1997・・・・」と自身の作詞、作曲で歌いました。当時、中国の人達にとって香港は“夢の世界”だったのだろな、と思います。中国語で「1997(イチョチョチ・・・」と繰り返すところが何ともジャズっぽくて、洒落ていました。
このCDには他に「我要回家(うちに帰りたい)」「愛人你住在那裡(あなたはどこに)」といった、切々と愛を歌う美しいメロディの曲もあって大事な一枚になっています。何故か同じCDが2枚あって、誰かにあげるつもりだったのか、間違って2度、買ってしまったのか、今となっては記憶のかなた(笑)。
いずれにしても返還後の香港は、艾敬が夢見ていたイメージとは随分、違う姿になってしまっただろうな、と思います。そんな世界で生きているのだろうか?とウィキペディアを検索すると「現在はニューヨークを拠点に活動し画家としても活躍している」とあったので、「自由世界で暮らしているのだな」と何となくホッとしています。 関西テレビ 出野徹之