猛烈な暑さで何をする気力も湧かない毎日ですが、一年ぶりに、ベルリンフィル、「ヴァルトビューネコンサート」の放送を見て少し元気が出ました。今年はおまけに、ウィーンフィルの「シェーンブルン夏の夜のコンサート」も同時に放送され、涼しげな風景に暫し暑さを忘れました。
NHKクラシック音楽館、ご覧になった方も多いでしょう。ヴァルトビューネについては去年も「徒然」で書きましたが、今年はあの、グスターボ・ドゥダメルが指揮をするというので楽しみ倍増でした。更に、映画ウェストサイド物語の「シンフォニックダンス」が演奏され、“世界の”ベルリンフィルのメンバーが「マンボ!」と叫ぶのですから堪りません。ベネズエラ出身のドゥダメルは「シンフォニックダンス」を重要なレパートリーとして10年以上演奏しているとか。すっかり手の内に入った曲だったのですね。
そう言えば「ウェストサイド物語」も中南米、プエルトリコからの移民がストーリーの根っこでした。指揮を見ながらベネズエラが誇る「エル・システマ」があったからこそ、“世界のベルリンフィル”を振る“世界の指揮者”が誕生したのだと、改めて感じ入りました。「エル・システマ」はベネズエラで行われている音楽プログラム、決して裕福とは言えないこの国で、ややもすれば薬物や犯罪に溺れてしまう貧しい子供たちを救うために行われている活動です。公的融資によるサポートで1975年に始まり30万人以上の子供たちが国中の音楽学校に通っているそうです。(ウィキペディア)ドゥダメルは特に貧困家庭ではなかったようですが5才頃から「エル・システマ」による音楽教育を受け始めたそうで、いわば“申し子”でしょう。
番組をご覧になった方は勿論感じておられたと思いますが、彼の前には譜面台がありませんでした、いわゆる「暗譜」。バリトンのライアン・スピード・グリーンは「アメリカの古い歌」という愉快な曲を歌いました。彼は「電子楽譜」をポン・ポンとめくっていましたが、この“ややこしい?”曲を含めてすべての曲をドゥダメルは「暗譜」していたのです。「凄いな!」と、そちらの方が気になりました(笑)。
大阪(日本)センチュリー響に出向していた頃、当時の音楽監督、小泉和裕氏に暗譜について伺った事があります。小泉さんも結構暗譜で指揮をしておられたので。方法としては二通りあると言われました。一つはピアノを弾きながら記憶していく方法、もう一つは“コピー機”のように目で楽譜を追いながら脳裏に刻んでいくいく方法、いずれにしても我々にはとても真似できないと思いましたが、ドゥダメルは一体、どんな風にして暗譜したのでしょうね?
彼の才能に改めて感心しながら定番フィナーレ「ベルリンの風」を楽しみました。
出野 徹之(関西テレビ)