散策同好会は5月29日(木)、奈良県宇陀市にでかけました。古代貴人が狩りに訪れて歌を詠み、江戸期からの歴史的町並みが残る街。参加者は14人。緑あふれる古刹で薬草精進料理を楽しみ、大満足の初夏の一日でした。
近鉄大阪線で鶴橋から急行で約1時間、榛原駅で下車し、バスに乗り換え、「大宇陀道の駅」に午前10時半到着。ガイドさん2人と合流し、まず向ったのは森野旧薬園。江戸初期からの吉野葛の製造本舗ですが、江戸中期に全国から集めた薬草を育てる薬園を店裏の山に開設、現在に至る我が国最古の民間薬草園です。 急な山道の階段を登り、ガイドさんの詳しい説明に聞き入りました。今も約250種類の薬草、鑑賞植物が生育し、春先にはカタクリの花の群生も楽しめるとのこと。
昼食時間が迫り、階段を急ぎ足で降りて、向かったのは大願寺。江戸期、宇陀松山藩を治めた織田家と縁の深かった真言宗御室派の古刹です。奥の広い広間で頂いた薬草料理は、箸袋裏記載の献立によると、前菜5品目、胡麻豆腐、煮浸し、白あえ、三種盛り、葛の刺身、煮物、天婦羅、ご飯、吸い物、香の物、デザートと続き、特に出来立ての吉野本葛の刺身、糯米の黒米、ナツメの天婦羅、ドクダミのシャーベット等、「長く生きてきて初めて食べた」との声があがるもの多数ありました。
午後1時すぎ、懇談を交えての食事を終えて、森野旧薬園から北に続く歴史的町並みを散策。江戸期、城下町の街道沿いに50軒を超える薬問屋が軒を並べ、今も多くの旧家が残る「重要伝統的建造物保存地区」です。「藤沢薬品、ロート製薬、ツムラなどの製薬企業の創業者を輩出しました」と、ガイドさんの御国自慢の調子が上がりました。
この日は曇り空で、心配した雨にも降られず、健康に存分に役立つお話と食事をいただいて、皆さん笑顔で、午後2時半、再びバスに乗り込み、榛原駅に戻りました。
(文責 田仲 TVO)