私の「想い出の一曲」 逢いびき

火曜、金曜朝のゴミ出しは私の仕事です。7時15分頃ステーションに向かうと必ず中学生のカップルに会います。男子はニュータウン南の坂道を、女子は東の坂道から登って来て私の自宅近くで合流、遠回りしながら話しながら登校するようなのです。この可愛い風景を見ながら「逢いびき」というイタリアの古い曲を思い出しました。BS日テレで毎週土曜の夕方6時から放送している「小さな村の物語イタリア」という番組のテーマとして使われている曲です。
以前、午後9時から放送していた頃には毎週欠かさず見ていたのですが、夕方に移ってからは見づらい時間帯になってしまいました。毎回、イタリアの小さな村をひとつ選び、そこで起るなんでもない日常、家族や友人を大切に、心豊かに暮らす人々の姿を淡々と映し出す“小さな”ドキュメンタリーです。多くの日本人が忘れてしまった「美しく生きる」「美しく暮らす」、が見えてきます。
SNSで他人を誹謗・中傷するような醜い人は一人として出てきません。番組を視ているだけで、つかの間“汚れてしまった”日本を忘れることが出来ます。そして、そのテーマ曲が、オルネラ・ヴァノーニ(イタリア語ではオルネッラでしょうか)が歌う「逢いびき」なのです。
番組の内容に相応しい、優しい、大らかな、ロマンチックな曲です。「ヴァノーニはミルバやミーナ(懐かしい名前)とともにイタリアンポップスを代表する歌手、スケールの大きな説得力ある歌唱で知られる」とウィキペディア。自身、最大のヒットとなったこの曲は、アラン・ドロンの「ビッグ・ガン」や「オーシャンズ12」に使用されたそうです。知りませんでした。
番組では「ナヴィゲーター」として紹介されているナレーションは俳優の三上博史、クセの無いシャベリは決して内容を邪魔しないように、そっと寄り添って感じの良い語りを聞かせてくれます。オルネッラ・ヴァノーニの「逢いびき」を聴きながら小さな村を訪れてみて下さい。
出野徹之(KTV)

TOP