去年12月から今年1月にかけて、白内障の手術を受けました。年相応という事なのでしょうが。JR「中山寺駅」に近い「うぐいす眼科」という可愛らしい名前の医院です。この辺りは一面田んぼだったのですが、宅地開発が進み、今ではお洒落なパン屋、スターバックス、携帯電話の店舗と、時々、その先の大型電気店やホームセンターに行く私達でも驚く変身ぶりで、この眼科も主治医の紹介で初めて知った有様です。白内障手術を専門に行っているとかで、院内では関係する映像や資料を見ることが出来ます。12月10日に先ず右目の手術、何せ初めてなので事前レクチャー通り準備用の目薬をスケジュール通り点して当日に臨みました。
OBの仲間も家内も「手術はあっという間に終わる」と事も無げに言うのですが、緊張していたのと緑内障の進行を遅らせる“ステント”という物を挿入したので結構長く感じました。約一週間後に左目というスケジュールでしたが術後の眼圧が高く「左目は1月にしましょう」とドクター、しかも彼は年末まで、インドで現地の人達に白内障手術をするボランティアに出発する、と言うのです。
そう言えば院内のTVモニターに、その旨のインフォメーションが繰り返し流れていたし壁にはインド・ダラムサラの地図や人々の写真が飾ってありました。好奇心がムクムクと湧きあがって来ます。シンガポール在任中、大地震の取材でマハラシュトラ州キラリ村に行った事を思い出します。
早速ネット検索したところ、アジア眼科医療協力会(AOCA)が行っている「Eye Camp・アイキャンプ」という活動であることが解りました。医療施設の無い地方の人々に、その恩恵を受けてもらうためネパールやインドで行う開眼手術活動で今回が13回目になるそうです。現地では世話人たちが患者や医療チームの住居を確保し、医療の全ては海外のNGOや現地赤十字などが負担、患者は全て無料が原則です。ダラムサラはインド北西部、標高1800~2000メートルの高地で、1959年、14世ダライ・ラマ法王がチベットから亡命、亡命政府の各省庁があるという地です。
今回、手術して頂いた荒木院長も同じ医院の看護師さん、視能訓練士(こういう仕事があるのですね)とともに12月の終わり10日間を、この活動に参加するという事でした。白内障手術をした方はご存知だと思いますが術後数日間「保護メガネ」をかけますね。受付には「お宅で眠っている保護メガネを寄付して下さい」と書いてあります。医療活動の時、現地の人々に使ってもらうのだそうです。そうか、年末、遠い国まで出かけて行ってこういう活動をしている人たちが居るんだ、と感心してしまいました。私の左目手術は少々遅れても良い、終わったら眼鏡を寄付しよう、と、ちょっと明るい気分で年を越しました。お陰様で1月半ば左目終了、世の中すっかり明るくなり、ダラムサラの人々に思いを馳せながら術後の目薬を点しているところです。
出野徹之(KTV)