活動報告 クラシック同好会 10月例会
1995年生まれと言う事は「え~!29才じゃないか」、大阪フィルハーモニー交響楽団第582回定期演奏会を指揮したイギリス人、バーティー・ベイジェントです。
一曲目は、リリ・ブーランジェの交響詩「愛と哀しみの夜に」、プログラムノートによると24才で亡くなる年に完成した11分の短い曲。如何にも厳かな「哀しみ」という名に相応しいのですが、マエストロとオーケストラが気持ちを込めて、実に丁寧に客席に届けてくれました。ブーランジェの“死へ向かう覚悟”が現れているような気がして、個人的な感想ですが、最初の、この一曲を聴いただけで「帰ろうかな」と強い印象の残る曲でした。
モーツァルトのピアノ協奏曲第23番は人気の曲、日本を代表するピアニスト、田部京子が爽やかな音色で、二階席からも鍵盤の上を滑る指がはっきり見えるような、一筋の川が流れるような、うっとりするモーツアルトでした。
ドヴォルザークの9番は「新世界より」、8番は「ドヴォ8」と呼ばれて人気の交響曲ですが7番は、個人的には余り聴いた事がありませんでした。プログラムノートでは最近演奏される機会が増えているとのこと。8,9番と違って、最初、ややとっつきにくい印象がありましたが次第に、重厚な世界に引き込まれていきます。作曲当時のヨーロッパの複雑な国際情勢も背景にあるという解説に、音楽の世界といえども政治と全く無関係ではいられなかった事情は、現代もあまり変わりがないのでは?とウクライナ情勢と比べてしまいました。
違う背景をもつ3曲の世界を、29才のベイジェントと手練れぞろいの大フィルはフェスティバルホール一杯に繰り広げて聴かせてくれ、充実した例会となりました。
世話人 出野徹之