ご縁があって17、8年前からCSチャンネル「タカラヅカ・スカイステージ」の番組審議委員を務めています。実は宝塚歌劇との付き合いは古く、50年以上前の駆け出しアナウンサーの頃、公開録画の前説をやっていました。関西テレビでは毎週水曜日の夕方6時から宝塚歌劇団生徒たちの出演で30分の公開番組を放送していて、芦屋市、池田市などの市民会館で収録していました。私の仕事はお客さんに番組や放送日の紹介をしたり収録の時に拍手のお願いをしたりする事でした。初めてステージに出た時は女性ばかりの客席に圧倒されてしまった事を憶えています。その後も西宮球場で「タカラヅカ大運動会」の実況中継をやったりして関わっていました。
番組審議委員会では視聴者契約状況の報告を受けたり、前もって送られてくるCSの番組についてアドヴァイスをしたり改良すべき点を指摘したりして、より良い番組作りのサポートをします。会議の後は大劇場で公演を見せて頂きます。今回は花組公演、「エンジェリック ライ」と「ジュビリー」の2本立て。永久輝(とわき)せあ、星空美咲という新トップコンビの大劇場お披露目公演でもあります。
去年の歌劇団生徒の自殺、パワハラ問題のモヤモヤが残る審議会でしたが、ステージ上の生徒たちは、元気いっぱい、何時に変わらぬ夢舞台を見せてくれました。1本目はホラ吹き天使が人間界に堕とされて巻き起こす騒動を宝塚らしく、華麗に楽しく描くミュージカルロマン。2本目はスピーディーなダンスと場面転換で繰り広げる宝塚歌劇ならではのレビュー。間に「ロケット」と呼ばれるラインダンスもあって、アッと言う間の約3時間でした。
出演者全員が一人たりとも手を抜かず、オープニングからフィナーレまで気持ちを込めて舞台を作る花組生徒の全力投球を見た後に浮かんだのは「健気」という言葉でした。今年は創立110周年の節目の年、今後も宝塚歌劇の動向を冷静に見守って行きたいと思っています。
出野徹之(KTV)