落語(上方芸能)を楽しむ会 新世界で6年振りに迫力の「大衆演劇」鑑賞!

落語(上方芸能)を楽しむ会
新世界で6年振りに迫力の「大衆演劇」鑑賞!
〆はジャンジャン横丁で串カツ!

 この会ではこれまで4回にわたって大衆演劇を鑑賞してきたが、しばらく間隔があいてしまっていた。久しぶりに大衆演劇を見てみたい、という会員の声もあり、普段大衆演劇に足を運ぶことはなかなかないので、今回約6年振りとなる大衆演劇鑑賞を企画した。場所はこれまでと同じく新世界・通天閣のお膝元にある1910年開館の老舗・朝日劇場、1977年から大衆演劇専門の劇場となり、全国からもファンが訪れる大阪・大衆演劇のメッカである。下町の懐かしい雰囲気と伝統を感じさせる外観内観が、気分をより盛り上げてくれる。演じるのは、大正年間に設立された関西が誇る大看板・市川おもちゃ(2代目)率いる「おもちゃ劇団」、創立111周年記念公演(!)と銘打たれた舞台である。観賞したのは8月27日で台風10号の来襲が心配されたが、台風の速度が遅くなったおかげで何とか開催でき、16名の会員が集まった。この日はなんと、111周年を祝って他劇団の座長4名がゲストとして特別参加する豪華舞台!世話人も予想しなかった幸運であった。

 大衆演劇は、前半がお芝居、後半が歌謡ショーと決まっており、演目は毎日入れ替わる。この日のお芝居は「甲州任侠伝」。任侠の世界の情と義理、盃を交わした親分・子分・兄弟分の絆と葛藤を描いた、大衆演劇らしい演目である。出演者は、主人公の不動の栄五郎が市川おもちゃ、その兄弟分の妙見の虎太郎が沢村千代丸(千代丸劇団座長)、父・相模屋十兵衛を殺され仇討ちを果たそうとして栄五郎を頼る相模屋重吉が南條のぼる(花組むらさき座長)、虎太郎の子分で十兵衛を殺した新田の又八が澤村謙之介(劇団澤村座長)、そして甲州を取り仕切る大親分で虎太郎の親でもある黒駒の勝蔵が関西大衆演劇界の重鎮・澤村紀久二郎(関西大衆演劇親交会副会長)という、この日だけの超豪華メンバーである。特に、義理と人情の間で苦悩する兄弟分の市川おもちゃ(大五郎)と沢村千代丸(虎太郎)の名演技と迫真の立ち回り、大親分の貫禄を存分に発揮した澤村紀久二郎(黒駒の勝蔵)の迫力あるたたずまいなど、大衆演劇の醍醐味をたっぷり味わうことのできる舞台であった。また、澤村紀久二郎と沢村千代丸は実際の親子でもあり、二人の親分・子分のやりとりはさすがの見応えあるものだった。

 休憩を挟んでの後半は歌謡ショーとなる。芝居では出番のなかった太夫元・市川恵子(先代座長)も加わり、花形・小恵子など「おもちゃ劇団」の団員たち、4人のゲストたちとともに華やかな舞台を繰り広げた。大衆演劇といえば「おひねり」であるが、現金とは別に幕間に販売するレイ(1000円)と花飾り(2000円)を購入してショーの中で出演者に手渡す、というシステムもあり、同好会でレイを購入して世話人の上村十三子さんが出演者に差し上げる、という一幕もあった。

 12時から始まったこの舞台、予定では15時ころに終了する、ということであったが、ショーのあとでゲストたちも加わっての盛り上がったトークコーナーもあり、すべて終了したのはなんと15時45分!ロビーや出口で出演者たちに見送られ、一同満足して劇場を出た。久々に見た大衆演劇だったが、なかなか見応えがあって舞台に引き込まれ、劇場の対応もすばらしく、また来年度も大衆演劇鑑賞を計画してみようか、と思った次第である。

 この同好会では、いつも終了後に懇親食事会を設定している。「新世界といえばやはり串カツでしょう」ということで、今回は暑気払いを兼ねてジャンジャン横丁の串カツの名店「王将俱楽部」に12人が集まった。ここは将棋クラブを改装したお店で、貸し切りで予約した2階のテーブルは将棋クラブ名残りの将棋盤を使っている。「新世界で一番軽い串カツ」を売りにしており、我々にはピッタリのもたれない串カツで、あっという間に8本と名物土手焼きを平らげて解散した。

髙井久雄(関西テレビ)

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