活動報告  クラシック同好会

 大阪市中央公会堂では初めての例会、7月最後の日、関西フィルハーモニー管弦楽団のコンサートを聴きました。とんでもない猛暑続きですが、9人の参加者は開演前にたどり着いてくれました。大阪市中央公会堂は堂島川と土佐堀川の中州に建っていて、川からの風が少しだけ涼を感じさせてくれます。1918(大正7)年に完成した風格のある公会堂はクラシック音楽を聴くには最高のロケーション、曲もモーツァルトとベートーヴェン、これ以上はないプログラムです。

 指揮の阿部加奈子は大阪の出身、パリ国立高等音楽院を経て現在、オランダ在住。ヨーロッパを舞台に活動をしています。前半は「フリーメイソンのための葬送曲」、「交響曲40番」とモーツァルトを2曲。プログラムノートによると、モーツァルトは晩年、秘密結社「フリーメイソン」に入会したそうで、「葬送曲」は同志の一人エステルハージ伯爵を追悼するためという重厚な曲、初めて耳にしました。昔風の公会堂はステージが、やや狭いためオーケストラも少し小さ目の編成ですがよくまとまっていて、返って中世宮廷の雰囲気が出て贅沢な鑑賞会でした。「40番」もベートーヴェンの「交響曲7番」も結構ポピュラーな曲、隣席の会員は「7番」がお気に入りらしく、しきりに指でリズムを取っています。かく言う私も気がついたら身体で指揮をしていました。阿部は関西フィルと初共演だそうですが、すっかり手の内に収めた感、終演後、「ブラヴォー」のシャワーを浴びていました。

 私事ですが、約20年前、未だ大阪センチュリー響に在籍していた頃、音楽監督(当時)の小泉和裕氏に会いたいと、阿部のお父さんから連絡があり服部緑地の練習場に来てもらった事があります。二人は東京芸大の先輩、後輩で「お目にかかってお話を伺いたい」とのこと、パリ音楽院在学中であったかもしれません。ある洋画配給会社勤務だったお父さんとは関西テレビ在職中に懇意にして頂き、「出野に連絡してみよう」となったそうです。この日の演奏は、どっしりと落ち着いた、堂々たるマエストロでした。

 外はすっかり暗くなっていましたが、少し気温も落ちて生暖かい川風に吹かれながら「淀屋橋」までの道のり、「7番」を反芻していました。

世話人 出野徹之

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