佐渡オペラ「蝶々夫人」を観ました

 阪急西宮北口に直結した、兵庫県立芸術文化センターでは毎夏、佐渡裕芸術監督がプロデュースするオペラを上演しています。今年の演目はお馴染み、ジャコモ・プッチーニの「蝶々夫人」。テレビでは視た事があるのですが実際の舞台を観るのは初めてです。このホールができた年から毎年開催されている恒例のオペラで、スタート当初は落語家をオケピットから登場させたりして「オペラ文化をなんとか根付かせよう」と様々な努力が為されました。その甲斐あって年々お客さんは増え、今回は有名な演目という事もあってチケットは完売、一階最後列には補助席まで出ていました。
蝶々さんを迫田美帆、ピンカートンをマリオ・ロハスが演じました。海外で演じられると、バタ臭さや、日本の所作に違和感があるものですが、流石国内での上演、全く違和感なく、全部の歌手が力を見せてくれて素人目ながらレベルの高い、ドラマチックな「蝶々さん」でした。プログラムノートによると、このホール開館の年に上演されたのが 「蝶々夫人」だとか。来年20周年を迎えるにあたり「万感の思いを込めて」と佐渡氏が語っています。

「万感の思いを込めた」舞台に盛大な拍手が… マエストロ佐渡裕氏は充実した表情でスタンディングオベーションに応えた。

 私が特に印象に残ったのは、2幕の終わりに陰で静かに聞こえてくるコーラス、その名も「ハミングコーラス」、原作の芝居を観たプッチーニが最も感動した名場面をもとに作り上げられたそうで、心を揺さぶられる“名曲”です。様々な合唱団も歌っていてユーチューブで聴く事が出来ます。

右端がピンカートンを演じたマリオ・ロハス。中央は蝶々夫人の迫田美帆

ご愛敬はカーテンコール。外国人キャストでの上演が最後のこの日、名残を惜しんで何度もステージに登場した“ピンカートン氏”、「沢山のご声援本当に有難う、お礼に私の国(メキシコ)の歌を歌います、(と言ったと思います)」と「シェリトリンド」をアカペラで明るいテノールで聴かせてくれました。「アイアイアイアーイ、カンタイノジョーレ、ポルケ・・・」の所は思わず一緒に歌ってしまいましたが。充実の3時間でした。

出野徹之(KTV)

TOP