東南アジアの小さな王国、ブルネイのニュースには殆どお目にかからないのですが先日、ウエブサイトでお目出度い情報を見つけました。正式には「ブルネイ・ダルサラーム」というこの国、“チャンティック(かっこいい!)”と、東南アジアで最も人気のある独身王族と言われる第4王子が1月に結婚、世界有数のお金持ちの王族とあって婚礼行事は1月7日から10日間続いたのだそうです。
シンガポール在勤中、ブルネイには取材で2回行きました。最初はハサナル・ボルキア国王の即位25周年祝賀行事、そして2度目は1993年3月末、断食明けの取材でした。シンガポール、マレーシア、インドネシアなどイスラム系の国では断食明け(ハリラヤ・プアサ)に「オープンハウス」をする習慣があり、個人の家では親戚や友人を招いて食事をしたりします。招かれた方はお年玉のようなご祝儀を持って行くので日本のお正月みたいですね。私も支局ドライバー宅に招かれてマレーシア風の家庭料理をご馳走になった事があります。
国家単位では「イスタナ」と呼ばれる王宮、政庁などを国民に開放し王様や首相が夫人ともども出迎えて握手します。ブルネイでも王宮が解放されるというので取材に行きました。シンガポールから空路約2時間、当日はブルネイ放送の協力を得て事前に謁見の間に入り、カメラ位置を決めて王族の到着を待ちます。オープンハウスでは、その時、ブルネイに居る全ての希望者が王宮に入り王族と握手する事ができるのです。当時の取材ノートを見ると「ボルキア国王、弟殿下、王子などが居並ぶ。(握手は)今日から3日間続くというから驚きだ」と書かれています。この列は男性王族のみです。係官に先導されて入って来る人々を見ていると外国人、ぞうり履きのオジサンなど様々な人が長い長い列に並んでいます。勿論我々も握手をして頂いて取材終了、王宮の外に出るとヤオハン製のクッキーボックスを頂きました。今度は取材抜きで女性王族の列に並び、ちゃっかり2個目のクッキーボックスを頂きました。当時、ヤオハンは東南アジアで手広くビジネスを展開していて、各国に大型店舗を持っていましたが、断食明けのお土産にまで手を広げていたのには驚いた記憶があります。
この度結婚したアブドゥル・マティーン王子は1991年生まれとのこと、私が取材した時はまだ幼く、握手の列には居ませんでしたが、肉体美とアイドルのような容姿を兼ね備え、イスラム女性の心をつかんできたのだそうです。
頂いたクッキーはシンガポールに帰って支局のモハマッド運転手に進呈しました。彼はボルキア国王のファンで日頃から「チャンティック(かっこいい!!)」と言っていましたので大喜びでした。
出野徹之(KTV)