徒然なるままに~“新国”でオペラ観劇~

徒然なるままに~“新国”でオペラ観劇~

 あるプライベートのオペラツアーに参加、東京・新国立劇場で「アイーダ」を観てきました。コロナ禍もあって4年ぶりの東京、新宿から京王線で一駅「初台」下車の積りで各駅停車に乗ったのですが、電車はトンネルを通って「次は笹塚」のアナウンス。「しまった、京王新線に乗ってしまった」、久しぶりだと大チョンボ、仕方なく笹塚で降りて後戻り、時間に余裕があったので事無きを得ました。

 笹塚で降りたのは大学時代の友人で、後にNHKのアナウンサーになった佐藤敏彦君の家に遊びに行って以来です。彼のお姉さんは、初代“うたのお姉さん”真里ヨシコさんで、羨ましかったことを思い出しました。新国立劇場は、毎週日曜のクラシックアワー「N響コンサート」で見てはいたのですが、入るのは初めてです。大ホールのクロークで手荷物を預けようと前の小グループを見ると和服を着た妙齢の女性たち、客席につくと蝶ネクタイで正装した人も居ます。スーツ・ネクタイしてきて良かったな、と思いました。さすが東京、こういう社交の場があるのだ、とちょっと羨ましかったです。 歌劇「アイーダ」はヴェルディ作曲の壮大な歴史絵巻、古代エジプトの若き将軍ラダメスと敵国エチオピアの王女アイーダの恋に、アムネリスというエジプトの王女が絡んで物語が展開します。私が大阪センチュリー響に出向した時の楽団長がオペラを称して、こう言いました。「まぁ、どんなオペラも大体“惚れたのはれたの”ですわ」、如何にも業界人の言葉だな、と未だに覚えています。オペラ専用ホールとあって新国立劇場の舞台は高さ20メートル近くあるでしょうか、古代エジプトを模した石柱が何本も建って、壮大なステージを作り上げています。それだけでも圧倒されるのですが、第2幕の「勝利の凱旋」で繰り広げられる子供から大人まで数百人の行進には本物の騎馬も登場、有名なアイーダトランペットで「凱旋行進曲」が吹き鳴らされます。このオペラの時だけに使われるアイーダトランペットは長さが1~1.2メートル、普通のトランペットと違って長い管のような楽器です。舞台では行進のメンバーと上段に陣取ったメンバー、合計10人ほどが何とも景気良く、高らかに音色を響かせ、客席も最高潮に達します。この一幕の殆どが凱旋シーンなので、盛り上がったところで「もう帰ろうかな」と思ったくらい。でも物語は更に恋する二人が永遠の愛を誓いながら、黄泉の国へと向かっていく姿で第4幕、終焉に向かいます。

 この日が千秋楽とあってカーテンコールが何度も繰り返され、客席もスタンディングオベーションで応えます。

休憩を挟んで約4時間、しかし全く長さを感じさせない“新国・初体験”でした。

関西テレビ 出野徹之

TOP