「我が青春のべラフォンテ」
ハリー・ベラフォンテの訃報が伝えられた。享年96歳。私の青春時代の思い出の歌手である。
1960年、べラフォンテが来日、大阪でも公演を行った。多分毎日ホールだったと記憶している。そのコンサートのチケットをたまたま頂き、一人で見に行った。二十歳過ぎの頃だ。多分生まれて初めての外国からの歌手のステージを観に行ったのだった。べラフォンテは来日前から「バナナボート」や「さらばジャマイカ」「聖者の行進」などが大ヒット、さすがの私もその曲は知っていた。ステージに現れたのは、黒のシャツに、黒のパンツ、黒い肌もその容貌もカッコイイ!前記の曲もいいけれど、「ダニーボーイ」「ママ・ルック・ア・ブーブー」「ダニーボーイ」「ハヴァナギラ」なども好きな曲だ。一番感動したのは、観客を巻き込んでのステージ、最後の曲「マチルダ」では、会場全員が一体となって歌った。べラフォンテの指導で全員が「マチルダ!マチルダ!」と歌った。会場が揺れ動いた。素晴らしいパフォーマンス!楽しかった!これまでのコンサートは、観客は大人しくステージを拝聴しているだけだった日本の音楽界にべラフォンテは革命ともいうべきパフォーマンスを見せ、以来日本の歌手たちもこぞって真似たのだった。
興奮冷めやらぬ私は、その後、レコードも2枚買った。LPだ。今も手元にある。映画も何本か見た。それから何年かたって再び彼の来日コンサート。さすが歳をとっていて以前のカッコよさは薄れていたが、素敵だった。アフリカの飢餓と貧困層を救うためのキャンペーンを発起人として呼びかけ、全世界のトップ歌手が歌った「We Are The World」は、忘れられない偉業だった。
ああ、どんどん私が触れた青春の文化が消えていく・・・
先日50代くらいの友人に「エルビス・プレスリー知ってる?」と尋ねたら、「うーん、名前だけは。でも歌までは知らない」「じゃあポール・アンカは?」「聞いたこともないです」そうなのですね。いつかビートルズも忘れ去られるに違いない!
久しぶりにべラフォンテのLP を聞こう!
上村十三子(MBS)