「落語(上方芸能)を楽しむ会」新春恒例の文楽鑑賞!

「落語(上方芸能)を楽しむ会」

新春恒例の文楽鑑賞!

 

 「落語(上方芸能)を楽しむ会」の一年は、国立文楽劇場での「初春文楽公演」から始まる。今回は、人気演目「義経千本桜」から、樫の木の段、小金吾討死の段、すしやの段を、会員24名が参加して鑑賞した。

 「義経千本桜」といってもここでは義経も弁慶も登場しない。一ノ谷の戦いの後で行方が知れなくなった平家の大将・平維盛(平清盛の孫にあたる)の消息をめぐる三段目の物語だ。この段の主役は、吉野のならず者「いがみの権太」、関西では手のつけられない腕白小僧を「ごんた」と呼ぶことがあるが、その語源ともなっている有名な人物である。この「すしやの段」は歌舞伎でも度々上演される人気演目となっているのでお馴染みの方も多いだろうが、今回はその前段である「樫の木の段」、「小金吾討死の段」も上演されたので、三段目全体の話の流れが非常によくわかる構成となっていた。

 文楽劇場では、恒例の「にらみ鯛」が客席天井付近とロビーに飾られ、新春の華やいだ雰囲気を盛り上げる。今回の席は、太夫と三味線に近い上手に集まっており、豊竹咲太夫、呂太夫、呂勢太夫らの熱演や人間国宝・鶴澤清治の三味線の妙技を間近に聞くことができた。「いがみの権太」を演じたのは五代目吉田玉助、三代目玉助の孫にあたるサラブレッドであるが、さすがの表現力で演じ切った。歌舞伎では尾上菊五郎代々の当たり役として知られている「いがみの権太」、とんでもない悪役として登場するが、実は・・・、という複雑な人物像で、ストーリーも二転三転して、観客をぐいぐい引っ張っていく。まさにエンターテインメント性にあふれた、楽しめる作品であった。当日参加された24名の会員の方々も、充分満足されたようで、「眠くなる間もなかった」という声が聞かれた。

 昨年「初春文楽公演」を鑑賞した時は、コロナ禍で半分以上が空席となっており大いに心配されたが、今回は大分回復しており安心した。それでもまだかつての賑わいには程遠く、この大阪の誇る文化を我々も応援していかねば、とあらためて気持ちを新たにした次第である。

(KTV・髙井久雄)

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