徒然なるままに 「音楽3題」
1) 石田組:
10月10日、最近オープンした東大阪市文化創造館で開催されたツアーコンサートについて。石田組は神奈川フィルと京響のコンサートマスターを務める石田泰尚が2014年に結成した弦楽アンサンブルです。第一、第二ヴァイオリン、ビオラ、チェロが各3名づつとコントラバス1名の13人編成で、チェロ以外は立って演奏します。
この日のプログラムはシベリウスやグリーグに始まり、「鎌倉殿の13人」のメインテーマから、後半はレッド・ツェッペリンやディープパープルというジャンルを超えた楽曲の構成で、そのダイナミックな演奏に驚かされました。
石田君は刈り上げツンツン頭でゆったりしたガウチョパンツのようないでたちで異彩を放っていますが、鎌倉殿ではビニール製の鎧兜スタイル、ご当地ソングの吉本新喜劇のテーマ曲ではくいだおれ人形風の帽子と上っ張りで登場するなど会場の爆笑を誘っていました。
もちろん彼の特に高音部のクリアーで力強い演奏は聴きごたえがありました。
2) 華麗なるガラ・コンサート:
コロナ禍を乗り越えるため、日本クラシック音楽事業協会が企画したプロジェクトが、10月22日ザ・シンフォニーホールで開催されました。
オーケストラは主にフリーランスの演奏家で構成され、指揮は気鋭の沼尻竜典、何名かのソリストによる協奏曲のそれぞれ第一楽章やオペラ歌手による名アリアなど盛りだくさんのプログラムでした。
私が特に楽しみにしていたのは、ヴェルディの歌劇「ナブッコ」で歌われる合唱曲「行け、わが思いよ、金色の翼に乗って」で、関西二期会が演奏しました。
これは古代バビロンに囚われていたヘブライ人たちが故郷を思って歌う、第二のイタリア国歌ともいわれる名曲で、とくに今日のウクライナがおかれた状況を見ると心に迫るものがあります。
3) T字路’s:
数十年ぶりのライブコンサートに行ってきました。
難波の味園ユニバースという昔ダンスホールだった会場で、ボーカル、ギターの伊東妙子、ベースの篠田智仁のブルースデュオです。彼らを知ったのは夏前ぐらいのNHKうたコンで、「これさえあれば」を聞き伊藤妙子の独特の声と歌唱にはまりました。
思えば私の20代のころ、関西にはいくつもブルースバンドがありちょっとしたブームでした。基本4ビートと単純なコード進行で乗りやすい音楽ですが、当時もギターの名手がいて楽しませてくれたものです。
今回も久しぶりにライブの楽しさに触れることが出来ました。
(岩渕輝義)