活動報告 クラシック同好会
10月の同好会、今回の舞台は、豊中市立文化芸術センター大ホールです。
阪急宝塚線「曽根」駅から徒歩5分、ホールの中はむき出しの「木」をふんだんに使い、大阪市内のホールとはまた違った、落ち着いた雰囲気が感じられます。
日本センチュリー交響楽団豊中名曲シリーズ、今回はフランスの作曲家、ドビュッシーの作品を前後に挟んで、ロシアの作曲家、グラズノフのヴァイオリン協奏曲を聴きます。指揮は角田鋼亮、東京芸大からベルリン音大で研鑽を積み、今や国内外で引っ張りだこの気鋭の指揮者です。因みに今年の暮れ、ザ・シンフォニーホールでセンチュリーとともに「カウントダウンコンサート」で年を越します。
コンサート最初の曲はドビュッシーの夜想曲より「雲」。オーボエの低音楽器コーラングレが美しい音色を静かに聴かせて、始まりから客席を引き込んでいきます。ドヴォルザークの「新世界」でお馴染みのメロディを吹く楽器と言えば思いだす方もいらっしゃるでしょう。私も初めて聴く曲で、指揮者の指先と柔らかい音色に酔っていました。
ドビュッシー第2曲は「祭」、一転してオーケストラが激しく盛り上がります。プログラムノートによると「ドビュッシーは音による情景描写を目的としていない」とあるのですが、聴いていると(ヨーロッパの)祭の情景、躍動感が如何にも感じられて、こちらもいつの間にか盛り上がります。
プログラム2曲目はヴァイオリン協奏曲。オケの調音が終わり、ソリストが登場。周防亮介となっているのですが、黒く流れるような背中に届く長髪、ラメ入りの黒のジャンプスーツ、薄く化粧をしたジェンダーレスのヴァイオリニストがすっと背筋を伸ばして位置につきました。客席は、ここで既に「彼」の世界に引き込まれています。
普通、協奏曲は3楽章から成り立っているのですが、グラズノフの作品82は1楽章仕立て、静かに始まり、中間部はうねるような長い独奏(カデンツァ)、素人目にも、「力を持った弾き手でなければ」、と感じさせる聴きごたえのある協奏曲でした。一見、きゃしゃで弱弱しそうな印象の周防ですが、アマティという名器を存分に鳴らして私たちを堪能させてくれました。クラシック同好会でまた一人印象に残る演奏家を聴く事ができました。
クラシック同好会 出野徹之