第68回落語(上方芸能)を楽しむ会
1年2カ月ぶりの天満天神繫昌亭
1月18日の「初春文楽公演」以来となる「落語(上方芸能)を楽しむ会」第68回例会を、6月21日に天満天神繫昌亭で開催した。繫昌亭での開催は、昨年4月13日以来1年2カ月ぶりのこととなる。
この繁昌亭の団体予約システムは、開催1カ月前から50%のキャンセル料が発生し、開催半月前からは100%になるという、コロナ禍で世間の情勢が流動的な中では大いに世話人泣かせのシステムである。そこで、今回は予約の締め切りを1カ月前に定め、その時点で申し込みのあった人数分のチケットを予約・購入し、それ以降のキャンセルは、キャンセル料(半月前までは50%、それ以降は100%)を負担していただくことにした。
開催2カ月以上前の4月半ばに42人の会員の皆さんに案内を発送し、最終的に参加の申し込みをいただいたのは、世話人の予想を上回る21組(24名)であった。申し込み締め切りから開催まで日があったので、体調を崩されて不参加の連絡があったり、参加の申し込みをしたことを忘れてしまっていて会場に来られない方が何人かいるのでは、と危惧していたが、幸い申し込まれた方24名全員が、誰一人欠けることなく元気な姿で繫昌亭に来ていただいた。さすが関西民放クラブの方は皆さんお元気だ、とあらためて感服した次第である。
当日はあいにくの雨模様、開場は開演30分前のため、雨の中で開場を待たねばならない。会員以外にもたくさんの方がおられたので、せめて10分でも開場を早めて頂ければありがたかったのに、と思った。繁昌亭の方で今後検討していただければ幸いである。
当日の演目は、前半が露の新幸「鉄砲勇助」から始まり、桂華紋「牛ほめ」、露の団六「へっつい盗人」、東京からきた漫才のおせつときょうた、桂三風「憧れの町家ぐらし」と続く。仲入後は、笑福亭喬若「手水廻し」から、浪曲の春野恵子「樽やおせん」、そしてトリは桂塩鯛が「替わり目」で締めくくった。紅一点の浪曲・春野恵子は、冒頭に英語で歌ったりビートルズ「ヘイ・ジュード」の節回しを使ったりして新しい浪曲の表現方法を紹介したのち、古典の「樽やおせん」を披露した。残念ながら持ち時間に限りがあるため「ちょうど時間となりました」となってしまったが、もっと長く聞きたいと思わせる熱演だった。トリの桂塩鯛「替わり目」は、まずマクラの酔っ払いの小話で笑いに引き込み(この小話は関西民放クラブの同好会だよりでも紹介してます)、そのまま酔っ払った男と車屋、女房、うどん屋との軽妙なやりとりを次々と聞かせ、大いに笑わせてくれた。
繫昌亭での「落語を楽しむ会」では、終了後に演者の一人に残ってもらい客席でいろいろお話を聞く、というのが常だったが、コロナ禍でしばらくできなくなっていた。今回は久々に、恩田氏の計らいで春野恵子さんに残っていただき、懇談の場を設けることができた。春野さんは当日参加の会員の何人かとは顔なじみで「お久しぶりです」の声が飛び交っていたが、中でも山本雅弘会長は、春野さんが初めてニューヨークで浪曲公演を行った際に相談を受け、クラウドファンディングで資金援助を行った、とのことで春野さんも大いに再会を喜んでいた。懇談の場では、あらためて春野さんのバイタリティの凄さに会員一同感服させられた。
「落語(上方芸能)を楽しむ会」はコロナ禍で活動の停滞を余儀なくされていたが、ようやく収まりつつある中で今後は活動を積極的に繰り広げていきたい、と考えています。会員以外の方もぜひこの会に参加いただいて、落語・浪曲・講談から文楽・大衆演劇まで上方芸能全般をお楽しみください。お待ちしています。
高井久雄(KTV)