「カンゲキ日記」

 

「カンゲキ日記」

2月に山本能楽堂で、芝居と狂言のコラボ公演「サヨウナラバ」(脚本・演出 わがぎゑふ)を観ました。明治の頃の船場の商家を舞台に、同じプロットを2つの異なるスタイルで上演するものでした。

本家の娘と分家の息子の恋と結婚をめぐる話で、当の二人が本当は実の兄妹かもしれないことから、それぞれの家族が抱えていた子供たちの出生の秘密が明らかにされ、最後はめでたく二人が結婚するというものです。船場の商家は、番頭などが婿入りして店を継ぐことが多かったらしく、出生時の行き違いがこの混乱を生みました。

私は狂言版を観て、翌日芝居版を観ました。狂言版はわかぎが親しくしている茂山兄弟を中心に伝統的な狂言スタイルで上演され、衣装なども奇抜な笑劇、芝居版はリリパットアーミーによるかっちりした芝居になっていました。

コロナ禍で、公演が再三中止や延期になったなか、わかぎゑふの演劇にかける情熱や粘り強い取り組みには素晴らしいものがあります

舞台公演は昨年秋ごろからやっと復活しはじめ、わたしが観たなかではケラリーノ・サンドロビッチ「砂の女」と大竹しのぶ主演「ザ・ドクター」に特に感銘を受けました。

岩渕輝義(YTV)

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