徒然なるままに ~「ぶり」に関する一考察~
と言っても魚の鰤(ぶり)、ではありません。「久しぶり」「3年ぶり」の「ブリ」です。普通に使っている皆さんにとっては「それがどうした」の世界ですが、昨今テレビを見ていると、これが普通に使えないアナウンサー、記者、タレントが結構居るのです。
記憶にある限りで、私が最初に驚いたのは今を去る事、約10年前、NHKのバラエティ番組「教えて、ピカッチ」という番組だったと思います。粘土で何かを作るというシーンで司会のAアナウンサーがタレントに聞きました。「誰誰さん、粘土に触るのは“いつブリ”ですか?」と。
一瞬耳を疑いました。以来、テレビを見ていると、結構頻繁に変な「ブリ」が使われている事に気がつきました。一応、確認の意味で「ブリ」を辞書で見てみましょう。
◎小学館・現代国語例解辞典
「ぶり」:名詞またはこれに準ずる語に付けて用いる。
それだけの時間が経過した意を表す。「十年ぶりに再会する」
◎広辞苑
「ぶり」:時間を表す語について、時日の経過を表す語。
「久しぶり」「一年ぶり」となっていますが、
実際は
・西日本豪雨後の取材で、アナウンサー「お風呂に入ったのは“どれくらいブリ”ですか?」ご丁寧にスーパーまで入れていたのにはアングリ。
→「いつ以来ですか?」「どれくらい入っていませんか?」
・「ためしてガッテン」で女性タレント、「揚げ物するのは“小学生ブリ”ですよ」
→「小学校以来ですよ」
・NHK7時のニュースで「航空機を製造するのは“40数年以上ブリ”です」
アナウンサーもしゃべりにくくないのかなぁ。
→「およそ40年ぶりです」
・報道ステーション、飲食店の時短要請が解除されて中継、アナウンサーのインタビュー「居酒屋に来るのは“どれくらいブリですか?」
→「居酒屋に来られるのは久しぶりですか?」「どれくらい来ていませんか?」
その後一人シャベリで「中には“一年以上ブリ”と言う人も、、、」
→「約1年ぶりと言う人も」「一年以上来ていないという人も、、」
・CBC発の午後ワイド、清宮がスリムになった話題でフリップに書いてあった
「秋季キャンプ ブリ」
→「秋季キャンプ以来」
ワタクシ、特に「ブリ収集家」でもなんでもないのですが、ざっとこんな具合です。皆さんの局の後輩たち、ちゃんと、否、“普通に”使えてますか?
私、ブリブリ、いや、プリプリしながらテレビを見ています。
関西テレビOB 出野徹之