【散策】第185回 奈良・西ノ京で、久しぶりの例会を開催

 

 散策同好会は11月9日(月曜)、奈良・西ノ京で、久しぶりの例会を開催しました。

 2020年度は4月以降、6回の例会を計画していましたが、新型コロナウイルスの突然の襲来で5回の実施を見送り、10月になってようやく感染拡大に一定の落ち着きがみられたと判断して、第185回の例会実施に踏み切ったものです。

 参加者はゲストを含めて24人。少し冷え込みが感じられる朝でしたが、空は快晴。午前9時45分に近鉄橿原線の西ノ京駅に集合し、駅からすぐそばの薬師寺へ向かいました。「高校の時に来て以来」という男性会員は「当時ラジオから流れていた高田好胤さんの達者な話術を思い出す」と懐かしそう。

 平城京遷都に伴い、藤原京から移転して、壮大な伽藍を誇った同寺は、度重なる災害や戦乱で諸堂が灰燼に帰し、創建当時のまま残る東塔のみ目立つという状態が昭和40年代まで400年以上も続きました。好胤管主の発願で写経勧進に取り組み、金堂、西塔、回廊、大講堂と次々に再建。国宝・東塔の大修理もこの春に終えたばかり。ただその周辺整備は途上で、費用捻出のため、現在なお特別写経勧進に全力投球中。若い僧侶が法話で盛んに協力を訴えていました。

 午前11時から食事を予約しているため、薬師寺の見学時間は1時間弱。北受付から入場し、東院堂での聖観世音菩薩像、金堂での薬師三尊像と、白鳳時代制作の素晴らしい国宝の数々に足が止まります。「拝観券で再入場可能ですから」という世話人の声を背に、道を隔てた北側の玄奘三蔵院伽藍へ急ぎ、平山郁夫画伯による「大唐西域壁画」を鑑賞して、10時50分に再集合、食事会場に向かいました。

 その「蕎麦切りよしむら」は、食事場所が乏しいこの地域では断トツの人気店。事前予約の際「入店は11時に24人まで、1時間以内で」と念を押されていましたが、胡麻豆腐、かき揚げ、鯛の押寿司にお蕎麦の「おひるセット」(1550円)はお得感がありました。涼しい気候でビールを楽しむ人は少なく、予定通り正午すぎにお店を後にして、唐招提寺に向かいました。

 唐から度重なる苦難を乗り越えて来日した鑑真和上により創建され、当時の金堂、講堂が存在感十分の唐招提寺。南大門から広い参道の玉砂利を踏みしめて向かった金堂の内部を覗くと、高さ3mを超える廬舎那仏を中心に薬師如来立像、千手観音像が圧倒的な迫力で迫ります。歴史に詳しい会員Sさんから、時代に応じて変わる仏像の制作手法などを聞き、大いに参考になりました。

 当初、この日の見学には地元の解説ボランティアを依頼する予定でしたが、コロナ禍の中、多人数を相手とすることが難しいとのことで断念せざるをえませんでした。このため入場券と共に頂いた解説資料を参考に各自、自由に拝観していただくこととしました。半面、観光客が少なく、ゆっくり鑑賞できる利点もありました。紅葉が一部進み、緑あふれる唐招提寺の境内で、久しぶりのお喋りに花を咲かせるグループ、再び薬師寺をじっくり鑑賞しに戻る人など、自由解散にして、この日の見学は午後2時ころ無事終了しました。

 春の長期間外出自粛、7月末からの感染拡大第2波を経て、再開時を模索していた例会は何とか開催できました。今年度は年会費を頂かず、これまでの剰余金を活用して事務経費を賄うこととしました。

 この冬はインフルエンザの流行も懸念されるなか、コロナ感染者は再度、増える兆しを見せています。来年も厳しい環境が続くことを覚悟しつつ、安全に十分注意して例会を開催しようと、世話人一同は準備を始めています。皆さんが笑顔で集える機会が増えることを強く願っております。 

文責  田仲 和彦

 

 

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