オペラを歌いたいがためにイタリア語講座に通うことになりました。
フランス語が出来るのなら、兄弟分のラテン語系で簡単に行くかと思ったら、文法が滅茶苦茶難しくて手を焼いています。歌うだけなら発音だけで十分と言う人がいますが、言葉の意味を理解しない歌は魂が籠っていません。
オペラは歌う芝居でもあるので、演技力のない歌手ではダメです。その点、ド演歌ではお涙ものには如何にも悲し気に涙をぬぐう演技を加えて歌いますから、ド派手な「臭い」アクションも楽しいです。演技者には登場人物になり替われるお茶目な、いたずら心がいっぱいの人が向いています。ですからオペラは歌うのが大変と思うより、面白そうやん、一発やったろか、の精神が必要です。その点、私の講師はヤンチャ心を持った親玉だと思っています。箸にも棒にもかからぬババアを相手に好き放題をさせていただきながら、80歳の手習いから5年目になります。評判はセミプロ級です。
私には不動の生涯学習が二つあります。歌うことと外国語の勉強です。この2つの趣味のお蔭で、私は怯むことのない快適生活を楽しんでいます。中学時代には合唱に嵌り、今はオペラに嵌り、大学時代には英会話に嵌り、退職後にフランス語に嵌り、オペラのせいでイタリア語もドイツ語も楽しくなる。声学家はこうして外国語に馴染むことで外国語を学ぶ。 どの国のオペラ歌手もオペラを書いた作曲家の国の外国語で歌う。時々、オペラの有名歌手でも途中で外国語を忘れて、舞台で頭を下げているのは、ドイツの人気絶大のテノール、ヨナス・カウフマンです。この歌手はオンナ心をしびれさせますが、youtubeで聴くソロの発表会でドジっているのを2回も見ました。
医食同源と言う言葉があるように、外国語習得と音楽は同源です。日本の英語教育のダメなところは、読本中心で目で学ぶことにあり、話したり歌ったり耳と口が中心にすれば、外国語の習得は一挙に進みます。ドイツ語講座に出ないのにモーツアルトの作曲のオペラを歌っているうちに、段々ドイツ語が講座で学ばなくても、分かるようになってきました。そうすると歌に魂を込めることができます。外国語を学ぶ人は音楽でも言葉でも楽しみなさい。
私が高校から大学に進むころ流行した、アメリカのポップスを歌っていた江利チエミ、雪村いずみらはその具現者だったに違いない。コロナの不快を慰めるように、私は♪テネシーワルツを歌い、♪夢路より帰りて、や、♪黒人霊歌や、♪わが懐かしきケンタッキーホーム、♪ジャズの一片を英語で歌う。オペラが中心になっても、♪男はみんな狼よ、と口走り、♪ジャンバラヤで、腰を振る。
(伊藤妙子)