【写真同好会】 晩秋の湖西 高島で撮影会

晩秋の湖西  高島で撮影会

 晩秋の湖西を彩る艶やかな色彩と、豊かな営みを終えた侘しさとを写真に収めるため、関西民放クラブ写真同好会の撮影会に初めて参加しました。

 2017年11月29日、雲が厚く覆うまだ明けきらぬ空を見上げながら、重いカメラ機材とともに琵琶湖の西に位置する滋賀県高島市に向かいました。集合場所の湖西線近江高島駅に誰一人遅れることなく少々高揚した顔が揃いました。19人の同好会メンバーが全員参加する撮影会は初めての事だそうです。

 滋賀県高島市とびわ湖高島観光協会が、高島市の魅力を多くの人に知ってもらおうと、地元のエキスパートが案内する「高島サトパス」という企画を行っています。その中にプロの写真家とともに撮影会を行う企画を見つけ、今回の撮影会となったわけです。滋賀や京都の自然を撮り続ける写真家の葛原よしひろさんに道案内をお願いし、貸切バスで移動しながらの撮影会です。

 まず「日本の棚田100選」に選ばれた「畑(はた)の棚田」から撮影開始です。モヤに煙る山の端を背景に刈り取りを終えた棚田を様々な角度からカメラに収めました。地元の農家さんのご協力も得て普段では撮影できないポイントからも棚田の全景を写し取ることができました。足元が悪く滑って転んで標準レンズを壊してしまい、それ以降は残った100mmの接写レンズのみでチャレンジングな映像を残したメンバーもいました。

 昼食は郷土料理の「かばた館」で、地元の人たちが昔から日常的に食べていた醤油味の炊き込みご飯しょいめし」をいただきました。醤油の香りがお焦げと相まって素朴な素敵な味わいでした。昼から日本酒を所望するメンバーが多かったのもエビ豆など地元の食材の美味しさゆえでした。

 

 英語教師で宣教師で経営者であり建築家のウィリアム・メレル・ヴォーリズが建設した建物が残る「ヴォーリズ通り」で、優美で斬新な近代建築を撮影しました。昭和初期に建てられ今も使用されている「日本基督教団今津教会」、赤いポストとともに残る「旧今津郵便局」。ヴォーリズは、メンタムの近江兄弟社の創業者であることなど、ヴォーリズが大好きというメンバーが深い造詣を披露している間に、名残の紅葉が色をつける酒波寺(さなみじ)に到着です。朱色の門と盛りを過ぎた憂いのある紅色が、降り始めた小雨とともに不思議な世界を作り出していました。ホワイトバランスを「オート」から「曇り」に変えることで「赤色」がより鮮やかになることを葛原さんに教えてもらいました。

 さらに北上し、今回の撮影会のメインポイント、琵琶湖の北の端に近いマキノ町にあるメタセコイヤ並木に向かいます。まっすぐに続く2.4キロメートルの道に500本のメタセコイヤが植えられ、「新・日本街路樹100景」にも選ばれた絶好の撮影ポイントです。小雨が降り続くウイークデーにも関わらず、多くの観光客で賑わっていました。静かなメタセコイヤの並木を撮ろうとすると、たくさんの人影のためシャッターチャンスは限られていました。しかし、そこは日ごろから放送の世界で「瞬間」と向き合ってきたメンバーは、人の途切れた「瞬間」を狙いシャッターを切っていました。

 今日一日案内してくれたプロカメラマンの葛原さんに、プロとアマチュアの違いはどこなんでしょうかと聞いてみました。「プロは失敗が少なく、良い写真の確率が高いということでしょうか…。アマチュアでも条件に恵まれればプロに勝る作品はいくらでも撮れますよ」と、優しいお言葉。

 私は、6時間余りの撮影会で370枚余りの写真を撮りました。協力していただいたたくさんの方々のお陰で、撮影条件には恵まれましたが、出来上がった作品を見て、やはりアマチュアだなと思い知らされました。しかし、参加した皆さんと楽しい時間を共有し、次こそはプロにも負けない写真を…と、挑戦する気持ちを新たにした撮影会でした。

(ABC)西野義和

 

 

互選会の結果(12月5日) 撮影地:湖西・高島市 (写真をクリックで拡大表示)

金賞 1作品

「畑の棚田」 細田教司

銀賞 2作品

「晩秋を想う」 橋本安弘

「寒村の棚田」 三井章好

銅賞 2作品

「参拝」 神島治美

「秋惜しむ」 西野義和


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