散策同好会は9月29日(木)、
「西宮・苦楽園~堀江オルゴール博物館から山の手文学歴史散策」
と題して第164回の例会を行いました。
長引く天候不順の影響を受けて、早朝にはにわか雨もありましたが、阪急・夙川駅での集合時間(9時35分)までには雨もやみ、皆さんホッとした表情。阪急バスに約20分乗車して苦楽園へ向かいました。
苦楽園のバス停周辺から、石垣に囲まれた屋敷が続く急坂を登っていくと、一段と立派な門構えの堀江オルゴール館に到着。参加者28名は広いロビーで一息いれて、案内に従ってまず3階へ。
今ではCDやモバイル機器で簡単に再生して聞くことができる音楽も、わずか100年ほどまえ、蓄音機が出現するまでは、さまざまな工夫がこらされたオルゴールが花形でした。3階の広間には19世紀後半から20世紀初頭にかけてスイスやドイツで開発された家具調の豪華な製品が並んでいます。シリンダー方式とその後の技術革新によるディスク方式の説明を受け、実際の演奏を比較して、味わいのある音の響きに、皆さんおもわず拍手。
3階のカーテンを開くと、大阪湾から大阪の街が一望でき、生駒から金剛への山並みの風景が見事。眼下には、堀江家の庭園(小川治兵衛作庭)があり、隣接する芦屋・六麓荘にかけての緑豊かな邸宅街が広がっている。その後、2階に移動して十月から開催の「自動演奏楽器リプロデューシング・ピアノの世界」展示を一足早く見学。技術的に困難だった名ピアニストの演奏を紙のロールに記録し、忠実に再現できるピアノで、ラフマニノフの演奏を聞くと、説明人を囲んで質問が相次ぎ、音響の世界に深い関心を寄せる会員にとって、とても興味深い見学となりました。
約1時間の見学を終えて、周辺の散策へ。ガイドは西宮芦屋文化研究所の小西巧治副所長。苦楽園は明治末期から住宅地として開発が始まったが、ラジウム温泉が出て、温泉街としても有名になり、多くの著名人が居を構えたり、高級ホテルもやってきました。関東大震災で移住してきた谷崎潤一郎が滞在、山口誓子、湯川秀樹、黒岩重吾、小川洋子さんも居を構えて、苦楽園についての記述を残していると、お手製の資料を配布して、約1時間ゆっくり歩きながら、数々の逸話を紹介頂きました。
再び、阪急バスに乗って、昼食会場の「愛蓮・苦楽園店」へ。散策同好会に初参加の内海重俊さん(ABC)もここから加わり、総勢29名で4つのテーブルを囲んで、美味しい中国料理を楽しみました。お酒で盛り上がった席もあり、午後2時すぎ、食事を終えて解散、三々五々、帰宅の途につきました。
文責 田仲 和彦