いずみホールで日本センチュリー交響楽団四季・秋コンサートを聞きました。
“戦後のスクリーンを支えた日本の名作曲家たち”というサブタイトルがついて、数々のシーンを思い出して聴くにはもってこいの好天の秋の午後でした。
予定の指揮者が体調不良で現田茂夫に変わったとのこと。楽団関係者に聞いてみると、練習の二日前に休演が判明し“奇跡的に”3日間だけスケジュールが空いていた現田さんをお願いする事が出来たとの事で、彼は徹夜で楽譜を読み込んだそうです。でも演奏会ではそんな事は一切感じさせず、オーケストラをぐいぐい引っ張って行きます。プロフェッショナルとは、、と思わせてくれるお仕事ぶりでした。
日本映画の中で演奏される曲はあまり印象に残っていないのが正直なところですが、斉藤高順作曲「東京物語」を聞いていると笠智衆、東山千榮子の老夫婦、長男の嫁・原節子という顔ぶれで穏やかに推移していく小津映画のシーンが浮かんできます。最もインパクトの強い、これぞという曲は、打楽器群(8人)を総動員して演奏された伊福部昭作曲「ゴジラVSキングギドラ」。これでもか、と怪獣の闘いが繰り広げられ観客を興奮の渦に巻き込んで終演を迎えます。このほか、芥川也寸志「八甲田山」より、早坂文雄「七人の侍」、池辺晋一郎「春を背負って」より、といった曲の数々が演奏され、アンコールで「男はつらいよ」のテーマが始まると期せずして場内から拍手が沸き起こりました。
日本映画の挿入曲、良い曲が沢山あるのだな、と思わせてくれたコンサート、カーテンコールでは急遽リリーフした現田さんに対して楽団員から客席に負けないくらいの拍手が送られていたのが印象的でした。
(世話人:出野徹之)