【漱石を読む会】 三年ぶりの遠足

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「漱石を読む会」 三年ぶりの遠足

 コロナ禍で中断していた「漱石を読む会」恒例の6月遠足がやっと実現できました。6月23日和歌山市へ出向きました。前回新潟県上越市高田へ出かけたのが2019年6月でしたから丁度三年ぶりになります。

 今年6月5日にオープンしたばかりの和歌山市立「有吉佐和子記念館」を見学するためです。繁昌亭前支配人にして現アドバイザーのわが同好会の講師恩田雅和氏が、この記念館の館長に就任されました。それならばわれらが先生の新しい活躍の場を見届けなければということで、総勢9名難波駅から特急サザン号に乗り込みました。

 記念館は南海電車の終点・和歌山市駅の駅前に建ち、木の香漂う新築で、作家が晩年まで住まいし活躍の拠点としていた東京・杉並の自宅を、残されていた設計図どおりに再現建築したという瀟洒な木造の建物です。1階は展示室とカフェスペース、2階は数々のベストセラーを生んだ書斎と、茶人でもあった作家の茶室が再現されています。書斎には遺品のパーカー万年筆が展示されており、「これと同じの持ってる!」の声が上がっていました。

  *入場 無料。 休館日 水 年末年始。 駐車スペース8台。

 和歌山市駅と同じ建物に市立図書館があり、杉並の自宅に愛蔵されていた図書が寄贈され「有吉佐和子コーナー」が設けられていました。作家が作品を生み出す苦しみと楽しみが彷彿とするような空間でした。

 記念館から10分ばかり歩いたところにある、和歌山市立博物館では企画展として「有吉佐和子と和歌山」が開催されており、遺品や和歌山との関わりの資料が展示されていて、興味深く見学出来ました。「恍惚の人」「複合汚染」など現代につながるテーマへの関心や伝統文化への見識など久しぶりに作家有吉和和子の幅広い活動や作品に思いを深くしたことでした。

 久しぶりに訪れた和歌山でした。落ち着いたたたずまいとゆかりの作家を大切にする文化風土を感じた、美しい初夏の半日課外授業でした。

武田朋子(MBS)記

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