「放送を考える会」(メディアウォッチング)休会のご案内

 

「放送を考える会(メディアウォッチング)休会のご案内

 

関西民放クラブ独特の部会として、ユニークな活動をしてきた「放送を考える会」(メディアウォッチング)は暫しの休会に入ります。

この会は、民間放送60年を節目として、手作りで番組を作り上げていった原点に立ち返り、民放創成の初心に戻って、“望ましい放送の姿とは何か”について考えよう、という主旨で2008年に発足しました。

最初は、民放クラブ会員へのアンケート調査、OB、OGとしての放送観や番組視聴の嗜好などについて聞きました。その後は局の現役、OBほか各界のゲストを招いての講演会やテーマを決めての自由討論など、活発な活動を続けてきました。

活動が目に見える形になったのは、2015年10月に発行した「民間放送のかがやいていたころ」。メディアウォッチングでは、在阪民放の番組を作ってきた51人の放送人から3年にわたって聞き取りをして、その証言を本にまとめました。自画自賛になりますが、各界から高い評価を頂き、研究者の皆さんがシンポジウムを開催して下さいました。

ただ、長く続くコロナウィルス感染の影響で大勢の人が集まる事が困難になり、メディアウォッチングの例会も、2020年2月、映画監督の森達也さんを迎えて「日本のジャーナリズムは機能しているか」という話を伺って以来、開催できない状況が続いています。私たちの母体である関西民放各局も、取材に、番組制作にかつてない苦労を続けているものと思われます。

こうした状況から、そして年齢とともに4人の世話人の肉体的・精神的パワーが落ちてきた事もあって「休会」を決めた次第です。メディアウォッチングの会の世話人は、辻一郎、武田朋子、貝谷昌治(以上MBS)、出野徹之(KTV)といったメンバー。辻さんは筆頭世話人として、貝谷さんは全ての例会の録音を取り、テープ起こしという手間のかかる作業、武田さんは会費の徴収や会計、それに会場押さえ、出野は例会の進行という役割分担で運営してきました。

関西民放クラブのホームページには、「放送を考える会」のページが残っていますので、過去の記録は詳細に見て頂けます。

最後に、辻一郎さん(MBS・OB)が最近出版された本をご紹介しましょう。

「証言と記録で綴る 放送人・高橋信三とその時代」(大阪公立大学共同出版会)3500円+税。

関西民放クラブ・山本雅弘会長の前書きを拝借すると「1955年に新日本放送(現・毎日放送)に入社された辻氏は高橋氏の謦咳に接した数少ない一人と言えます」。辻さんの見た高橋氏の姿、また放送人、民間放送の在り方について語る高橋信三氏の姿が様々なエピソードとともに綴られています。

巻末の「謝辞」の中に、辻さんのこんな言葉があります。「これを読んだ人たちが、“いまのこの時代のなかで、放送はどうあるべきか。放送人は何を大切にすべきか”をもう一度、真っ正面からとらえ直していただければ、それに勝る喜びはない」

この言葉は、正に「放送を考える会(メディアウォッチング)」の原点、そのものです、とご紹介して「休会のご案内」と致します。

出野徹之(KTV)

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