写真同好会

橋本 安弘

 寺田寅彦の随筆、「カメラをさげて」の書き出しに、「このごろ時々写真機をさげて新東京風景断片の採集に出かける。技術の未熟なために失敗ばかり多くて獲物ははなはだ少ない。しかし写真をとろうという気で町を歩いていると、今までは少しも気のつかずにいたいろいろの現象や事実が急に目に立って見えて来る。つまり写真機を持って歩くのは、生来持ち合わせている二つの目のほかに、もう一つ別な新しい目を持って歩くということになるのである」と彼は書いている。

 若いころ、現役時代は忙しさに追われて見過ごしていたものが改めて見えてきて、それは美しくも刺激的でもある。今、ゆっくりと過ぎ行く時間に感謝する。

 被写体と対峙する自分は、寡黙で葛藤の中にいるが、いったん焦点を合わせ、シャッターを切ると、突然に長方形の作品となる。その中には、見る・視る・眺る・診る・看る・望る・省る・察る・証る・観るの世界がいっぱいにある。それぞれに愚作ではあるが、ただ自分では勝手にそう想っている。

 撮影旅行や、月例会では、同好の友と語り合い、酒を酌み交わし笑い合う。異議を唱えたり、共感し合うのも、心が弾み楽しいことである。

お仲間歓迎  世話人代表 細田 教司(ABC) 

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